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ダムニュースNo.232(平成15年2月)

平成14年度海外研修報告
−ダム技術者育成事業−

−(財)ダム技術センター−

 この海外研修は、(財)ダム技術センターが、地道府県のダム技術者を対象に、ダム技術の向上と幅広い見識を養うことを目的としたダム技術者育成事業の一環として実施しているものであり、平成14年度は第10回目として、大韓民国(以下、「韓国」と称す)及び中華人民共和国(以下、「中国」と称す)において、5ダムの事業を視察しました。
 今回の研修団体は、北海道の小室河川課長を団長とする総勢10名で構成され、平成14年(2002年)9月4日から13日までの10日間の日程で実施されました。最初に韓国の昭陽江ダム、忠州ダム、続いて中国の小浪底ダム、三峡ダム、葛洲覇ダムを視察しました。これらのダムの概要については、ダム技術2003年1月号に掲載していますので、今回は、それぞれのダムの特徴を主に報告したいと思います。
 昭陽江ダムは、北漢江の左支川に位置し、韓国最大の規模を有する中央遮水型ロックフィルダムで、ダム上流域は朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」と称す)にまで至っております。ダム形式は、計画当初コンクリートダムとされていたが、有事の際の対策として、構造上崩壊の恐れの少ないロックフィルダムへ変更したいということです。また、設備面では堤体上流中腹に鉄砲台が構えられており、その当時の緊張感が伺えました。ダム天端は、現在でも基本的に一般人の立ち入りを禁止しているそうです。

 

昭陽江ダム(下流より)

 忠州ダムは、南漢江の上流に位置し、韓国で第2の規模を有する重力式コンクリートダムです。忠州ダム貯水池は韓国最大の湖であり、また周辺には国立公園や温泉があるため、全国から多くの観光客が訪れています。また、ダムの周辺には公園が整備され、水とダムをテ−マにした展示室も設けられており、小さな子供たちも訪れていました。国境から離れた内陸部の景勝地に位置していることもあり、同じ韓国のダムでも上記に昭陽江ダムとは違い、地域に開かれている印象を受けました。
 小浪底ダムは、黄河中流区間の最後の峡谷に位置し、2000年に完成した中国第2の規模を誇る傾斜コア型ロックフィルダムです。流域面積は、黄河流域の92.3%を占める69.4万km2を有し、総貯水容量126.5億m3で、堆砂容量は75.5億m3を有しています。
 黄河はその名が示すように土砂の含有量が多い河川で、黄河流域全体の土砂流出量は年間で最高16億t程度あります。また、黄河下流の河床は毎年10cm程度上昇しており、このことが原因で下流域では「天井川」を形成し水害の原因となっています。小浪底ダムは、4億t/年程度(20年間)の土砂流出を制御し、下流域の河床上昇・堤防高化工事等を節減することを目的の一つとして建設されました。現在は、黄河水理委員会等の治水専門家が、調水調砂計画(ダムの放流量を調節することにより、下流に土砂が堆積しないよう、黄河の土砂を海まで流す計画)について、研究を行っており、これに関する試験として、2002年7月4日から15日にかけて調水調砂試験を実施しました。これらの報告は後日発表するとのことでした。


忠州ダム(下流)

 三峡ダムは、長江河口より約1,600km上流に位置し、洪水調節、発電、運搬規模の拡大を注目的とする多目的ダムで、堤高175m、堤長175m、堤頂長2,309m、総貯水容量393億m3の規模を有しております。三峡ダムの建設の必要性が初めて提唱されたのは1919年で、かの孫文が発電のためのダムを提唱したのが始まりで、2009年の完成に至るま
で90年にも及ぶ歳月を要しており、その規模、その経緯からも中国国内並びに世界においても史上まれにみる大規模プロジェクトであります。この事業は、第期1工事(1993〜97年)、第2期工事(1998〜2002年)、第3期工事(2003〜09年)と大きく段階に分けて行われています。2002年11月現在では、三峡ダムは第2期工事が完成し、2003年の発電一部開始に向け、第3期工事への移行段階であり、現段階でダム本体については約92%、事業全体としては約70%の進捗となっています。我々が訪問した9月時点では、左岸シップロック、ダム堤体がほぼ完成しており、最盛期に約3万人(昼夜3交代)いた作業員も既に2万人の規模にまで縮小されていました。


三峡ダム(ダム左岸に位置するシップロック)
 葛洲覇ダムは、三峡ダムの下流約38kmに位置しており、長江の本流に最初に建設された重力式コンクリートダムです。このダムは、宜昌市上流200km区間の航路の確保(三峡ダム下流で約20mの水位の上昇)、華東・華中・上海への電力供給、三峡ダムの逆調、三峡ダム建設に向けての設計・施工面の技術経験とノウハウ蓄積を目的としたダムであります。目的のひとつとして、同じ長江に建設される三峡ダムのための実践的準備としての役割が挙げられ、仮締め切り方式、平面配置閘門の施工、堆砂処理技術、さらには施工技術など、葛州覇ダムでの経験が三峡ダム建設に生かされています。
 今回の海外研修により、韓国と中国それぞれにおける国内最大規模のダムを視察したわけですが、同じアジアの国のダム事業への取組みや、技術力の高さを実感できたことや,中国で途中経由した鄭州、洛陽、武漢、宜昌、上海等の都市部において、日本を凌ぐ勢いでビル建設やインフラ整
備が行われている一方、地方部においては道路の両脇に現在も生活を営んでいる横穴式の住居が存在しており、中国国内における都市部と地方部での生活水準の格差を垣間見えたこと等、これらのことを体感できたことは非常に意義深く感じました。

三峡ダムと視察メンバー

三峡ダム(ダム左岸に位置するシップロック)

葛洲覇ダム(上流より)
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