HOMEへ
 HOME > 図書出版・データ集 > ダムニュース

ダムニュースNo.250(平成16年8・9月)

羽地ダム試験湛水完了

−沖縄総合事務局−

 沖縄総合事務局が沖縄本島北部の名護市を流れる二級河川羽地大川水系羽地大川に建設を進めている羽地ダムが,平成13年7月3日の試験湛水開始以来, 2年11ヶ月の歳月を経て,平成16年6月10日時分,サーチャージ水位に到達しました。

 羽地ダムの試験湛水は,平水年計画で平成16年4月の完了を予定していましたが,昨年末からの少雨傾向の影響を受け,2ヶ月遅れの到達となりました。

 沖縄本島における平成15年の降雨量は,平年値の71%と低く観測史上6番目となる渇水年であったことから,平成16年当初から沖縄本島の水不足は深刻でした。幾度となく渇水連絡協議会が開催され,県民に対し節水を呼びかける非常事態となり,3月末には平成6年以来10年振りとなる給水制限を実施せざるを得ない状況に至りました。

 給水制限は,直前の降雨により緊急回避されましたが,その後も少雨傾向はつづき,試験湛水中の羽地ダムからの緊急補給に備え,利水者との調整会議や,過去20年間の日雨量によるシュミレーションにて試験湛水完了予測を行うなど,慌ただしい日々が続きました。

 平成16年度は,羽地ダム建設事業の最終年度であり,試験湛水遅延に伴う建設事業の延長,基本計画変更が頭をよぎりましたが,平成16年6月8日から10日にかけて沖縄本島をかすめたコンソン(台風4号)がもたらした降雨により,一気にサーチャージ水位に到達しました。

 貯水位の下降は,サーチャージ水位を36時間保った後,6月12日から16日にかけて1日1mの速度で常時満水位まで低下させ,約3年にわたる試験湛水を終えることができました。

 

  中央コア型ロックフィルタイプの羽地ダムは,堤体内部に沈下計,間隙水圧計,土圧計他10種類173個の計器が埋設されており,貯水位の上昇,下降に伴う堤体挙動をリアルタイムに観測してきました。特に問題となる挙動は見受けられず,また貯水池周辺の地すべり対策箇所(3箇所)についても変動なく安定していることを確認し,平成16年6月22、23日に,本省流水管理室並びに土木研究所に試験湛水結果報告を行い,羽地ダム試験湛水は完了しました。

 平成16年6月は,羽地ダム建設事業に携わる技術者にとって,貴重な経験をしたことは言うまでもなく,不思議な体験をした月となりました。

 貯水位がコンソン(台風4号)のもたらす降雨により,限りなくサーチャージ水位に近づくと同時に羽地ダムの洪水調節機能は失われ,胸が強く締め付けられました。

 不思議なことにサーチャージ水位到達後,降雨は収まり,その後の流入量もさほどでもなく常時満水位に低下させるまで快晴日が続いたのです。

 この地には,今から遡ること270年前(1735年),琉球王朝時代の三司官(現代の国土交通大臣)の一人であった蔡温が, 尚敬王の命を受け,107,380人を動員して,わずか3ヶ月という短期間で,氾濫を繰り返す羽地大川の改修工事を行った史実が残っています。

 慌ただしく緊迫した6月の日々,無事試験湛水を終えることができたのは,蔡温からの褒美であったかのような気がしてなりません。

 まもなく,昭和47年本土復帰後,沖縄本島の水資源開発を担う8番目の直轄ダムが竣工を迎えます。

(北部ダム事務所)

羽地ダム全景

サーチャージ水位到達

羽地ダム貯水池

<<TOP  <BACK  NEXT>

  WEB CONTENTS

  出版図書


  ダム技術目次検索


  ダムニュース

一般財団法人ダム技術センター 東京都台東区池之端2-9-7 池之端日殖ビル2F
Copyright(C) National Institute of Informatics