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ダムニュースNo.301(平成21年3月)

津軽ダム「環境保全措置」について

− 東北地方整備局 −

東北初!クマタカ補修巣で繁殖成功!

国土交通省が、一級河川岩木川に建設を進めている津軽ダムでは、ダム建設による希少猛禽類の生態への影響をできるだけ小さくするために、平成16年7月に学識経験者等からなる津軽ダム猛禽類検討委員会を設立し、意見や指導をいただきながら調査・工事を進めてきました。また、平成19年2月には本委員会により策定した「希少猛禽類のための生息環境配慮指針(以下、「配慮指針」)」を活用し、希少猛禽類の生息環境に配慮しながら調査・工事を進めています。

去る平成21年1月23日に第10回津軽ダム猛禽類検討委員会を開催し、今年度の調査内容について総括するとともに、平成21年度の配慮計画が検討されました。

  • 平成20年度調査結果
    平成20年シーズンの調査においては、津軽ダム周辺には、クマタカ5つがい、オオタカ1つがいが確認されました。
    そのうち、クマタカ1つがい、オオタカ1つがいが繁殖に成功し、クマタカは幼鳥1羽、オオタカは幼鳥2羽を確認しています。このクマタカ1つがいは、平成19年12月に既存の巣を人工的に補修した補修巣での繁殖の確認となります。補修巣でのクマタカの繁殖事例は、東北地方では初めてとなります。
    また、この補修巣以外に、営巣地に近接する工事やダム完成後の水位上昇などの影響が予想されるクマタカ1つがい・オオタカ1つがいについて、影響が無い場所へ誘導するための人工巣(誘導巣)4巣を平成19年12月に設置しました。
    その後利用状況を調査した結果、繁殖利用は確認されませんでしたが、クマタカ・オオタカの人工巣への飛来や巣材の積み増し・組み替えが確認されました。
  • 平成21年度工事計画と配慮事項
    平成21年シーズンに計画している工事について、配慮指針に沿って、工事時期と繁殖ステージの関係から配慮計画を立案し、了承されました。
    保全の対象となるつがいは、クマタカ3つがい、オオタカ1つがいであり、工事終了時期や工事照明の調整、工事の騒音・振動、建設機械の存在を徐々に慣れさせていく「コンディショニング」を実施するなど、出来る限りの配慮を行うこととしています。
    なお、平成21年シーズンの調査計画としては、工事配慮計画の対象となるつがいのモニタリング調査のほか、猛禽類の生息状況調査を継続する予定です。

(津軽ダム工事事務所調査設計課)

世界初!?ユビナガコウモリ集団移転!
(最終移転)

津軽ダムでは、ダム建設により消失する「目屋ダム仮排水トンネル」に集団で生息するユビナガコウモリの生息環境保全のため、人工洞窟「コウモリボックス」をつくり、移転させることとなりました。

第1回は平成20年1月〜2月にかけて約1,200頭の引越しを実施し、その後のモニタリング調査を実施してきました。平成20年11月17日には、津軽ダム本体建設工事着工式が行われ、本体工事が本格的に稼動しました。平成21年4月には、本体右岸部の基礎掘削が始まり、平成21年度中には目屋ダム仮排水トンネルが閉塞されることになります。このため、仮排水トンネル内の全コウモリ類の移転作業を実施することになりました。

移転作業は平成21年1月22日〜24日の3日間で合計約2,300個体の大移転を実施しました。作業手順は以下のとおりです。

  • ケガをさせないように手で捕まえ、洗濯ネットに入れます。
  • 息ができるように穴を開けた段ボール箱に洗濯ネットをいれ、何個かまとめて人の手で運びます(途中の県道は車移動)。
  • 放獣するコウモリボックスでは洗濯ネットの口を開けてぶら下げるとユビナガコウモリが元気よく飛んでいきます。(津軽ダムHP(http://www.thr.mlit.go.jp/tugaru/)に動画をアップしています。)

引越は冬眠期である1月に実施しました。これは、活動期である夏場では、人間が近づいただけですぐに逃げようと飛んでしまいますが、冬眠期ではなかなか起きないので、寝ているうちに捕まえられ、安全に引越できるからです。

今後もモニタリング調査を継続していく予定ですが、このコウモリボックスが今までの目屋ダム仮排水トンネルのように、ユビナガコウモリやその他のコウモリ類にどんどん利用されてくれればと期待しています。

(津軽ダム工事事務所調査設計課)

津軽ダムにおけるユビナガコウモリの移転状況
期間
移転回数
移転数
平成20年1月〜2月
3回
約1,200頭
平成20年5月〜12月
8回
約1,400頭
平成21年1月(最終)
1回
(3日間)
約2,300頭

冬眠中のユビナガコモリ

捕獲状況(目屋ダム仮排水トンネル)

段ボール箱に入れて引越し

洗濯ネットから這い出てくるコウモリ

全移転後1週間目の様子(ほぼ全数いるようです)

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