国土交通省が、一級河川岩木川に建設を進めている津軽ダムでは、平成22年1月28日、弘前市内において「第11回津軽ダム猛禽類検討委員会」を開催しました。
津軽ダム猛禽類検討委員会は、平成16年7月に設立後、これまで10回の委員会を開催し、希少猛禽類とダム事業との共存方策を検討・実施してきました。そして、平成19年2月には、希少猛禽類とダム事業との共存方策をとりまとめた「希少猛禽類のための生息環境配慮指針(以下「配慮指針」という)」を策定し、希少猛禽類の生息環境に配慮しながら調査・工事を進めています。
今回の委員会では、主要地方道岩崎西目屋弘前線の県道付替工事並びに、ダム本体工事が本格化していることを受け、平成21年シーズンの調査結果ならびに平成22年シーズンに計画している工事の配慮事項等について審議していただきました。

委員会の状況
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平成21年シーズンの調査では、配慮対象となるつがいについてモニタリング調査した結果、工事による影響は確認されず、クマタカ7つがい、オオタカ1つがいが確認されました。そのうちクマタカ3つがいが繁殖に成功し、幼鳥3羽の巣立ちが確認されました。オオタカは平成19年2月に設置した人口巣(誘導巣)において、抱卵まで確認されましたが孵化まで至りませんではした。
また、これまでつがいであった雌雄が2つのエリアに別れ、それぞれ別の個体とペアリングし、2つがいが形成されつつあることが確認されました。通常、クマタカは一夫一妻制といわれておりますが、その実態は明らかになっていません。津軽ダムでは写真撮影による綿密な調査が行われているため、このようなつがいの解消や新たな個体によるペアリングが明らかになり、学術的にも興味深い事例であるとの意見をいただきました。
平成22年シーズンの工事計画と配慮事項について、配慮指針に沿って、工事時期と繁殖ステージの関係から配慮計画を説明し、了承されました。
今後は、工事配慮対象つがいに関しては工事環境に徐々に慣れさせていくコンディショニング及びモニタリング調査を実施します。また、クマタカの行動圏把握のための詳細調査も実施する予定です。
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