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ダムニュースNo.347(平成25年1月)

「石淵(いしぶち)ダム」から「胆沢(いさわ)ダム」へ
〜 待望の試験湛水を開始! 〜

− 東北地方整備局 −
 岩手県奥州市胆沢区において、昭和58年度より東北地方整備局が事業を進めている胆沢ダムで、平成24年12月3日(月)待望の湛水式が、地元関係者、行政関係者、工事関係者他約100名の見守る中で執り行われました。

 胆沢ダムは、東北地方最大の1級河川である北上川の右支川胆沢川に建設中の、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水、水道用水の確保および発電を目的とする多目的ダムです。胆沢ダムは、北上川総合開発事業(通称KVA)で最初に完成したわが国最初のロックフィルダムである石淵ダムの再開発事業であり、その規模は堤高132m、堤頂長723m、堤体積約1,350万m3、総貯水容量1億4,300万m3の中央コア型ロックフィルダムです。

 湛水式典当日は、冬型の気圧配置も弱まり、12月としては大変珍しい雲1つない青空が広がる穏やかな天候のもと、まず下段仮排水トンネル閉塞の準備から進められました。

 閉塞作業は一発勝負であり、失敗は許されません。そのため、綿密な施工計画を立案し事前にリハーサルを行う等、入念な準備のもと、本番での作業は進められました。

 まず、閉塞ゲートを安全かつ確実に降下させるためには、下段仮排水トンネル呑口の河川水位を極力低く抑える必要があります。そのため、上流にある石淵ダムを活用し、土砂締切で一時的に貯留させるとともに、左支川尿前川を横断する工事用道路の管渠(コルゲートパイプ)を鉄板と土砂で閉塞することで、ゲート降下までの一定時間、河川水位を低く抑える施工計画としました。

 準備作業は、現地の式典本部からの作業開始の連絡を受け、ゲート降下開始予定の約1時間前、午前10時から開始されました。合図とともに、各持ち場で待機していた建設機械が一斉に動き出し、石淵ダムの土砂締切及び尿前川の横断管渠閉塞作業が開始されましたが、作業は、大きなトラブルも無く順調に進行し、締切箇所の上流に序々に水が貯まっていきました。この準備作業の進捗とともに、胆沢川本川の流量も序々に減り、閉塞ゲートの降下予定時間である午前11時頃には、下段仮排水トンネルの呑口水位は理想的な水位となっていました。

 一方、真新しい管理庁舎1階ホールにおいては湛水式典が厳かに営まれました。まず、式典に先立ち、地元奥州市胆沢区市野々地区の皆様による郷土芸能「念仏剣舞」が披露されました。鬼の面を被った舞手が大地を踏みしめる勇壮な舞は、これからの試験湛水が穏やかにつつがなく運ぶように、大地に気をこめた力強いものでした。

 その後、奥州市長、岩手県県土整備部長(代理 河川港湾担当技監)、東北地方整備局長の主催者代表挨拶があり、引き続き、宮城県土木部長(代理 土木部次長)の祝辞、胆沢ダム工事事務所長による工事経過報告の後、現地班からの閉塞準備完了の連絡を受け、来賓7名の方々が、午前11時15分「ゲート閉塞開始」の号令とともに一斉に閉塞ゲート降下ボタンを押し、ついに閉塞ゲートが降ろされました。

 現地では、クローラクレーン(200t)に吊された閉塞ゲートがゆっくりと降下、そして、呑口現地班班長が無事に胆沢川の流水を堰き止めたことを確認、手に持った赤旗を高々と掲げ、試験湛水が開始されました。

 一方、式典会場では、閉塞ゲート降下の一部始終をテレビモニターで見守っていましたが、試験湛水が無事に開始されたことを確認すると、会場は、喜びの拍手に包まれました。その後、金ケ崎町長のご発声による、万歳三唱で式典は締めくくられました。

 式典終了後、正午からダム堤頂の一般開放が行われ、地元内外から約120名の方が胆沢ダムを訪れました。湛水をはじめたばかりの胆沢ダムの姿に、30年間の歴史を重ねる人、また、胆沢ダムに沈み行く故郷、さらには石淵ダムへの惜別に思いをはせる人など、訪れた人それぞれに感慨を新たにしたようでした。

 試験湛水は、今後、融雪期の4月下旬から5月上旬頃にはサーチャージ水位に到達する予定です。その後、7月1日から洪水期制限水位、9月上旬から最低水位への水位低下を開始し、順調に行くと10月中旬頃には試験湛水を終了する予定です。

 試験湛水の開始は、事業に関わった多くの人々にとって、長年の労苦が報われる最高の瞬間ではありますが、事業の効用を発揮するのはまさにこれからです。胆沢ダムが石淵ダムの役割を立派に引き継ぎ、地域の発展に貢献していけるかは、これからのダム運用次第とも言えます。偉大な先輩である石淵ダムのように、地域に愛され、永く親しまれるダムとなれるよう、職員一同、緊張感を持って試験湛水に取り組み、平成25年度の事業完了を目指します。

(東北地方整備局 胆沢ダム工事事務所)

【胆沢ダム】湛水状況(12月6日)
整備局長あいさつ
湛水の瞬間を見守る地元の人々
湛水開始!
念仏剣舞(1)
念仏剣舞(2)
閉塞完了!
万歳三唱
胆沢ダムに沈む石淵ダム
閉塞全景

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