現在、わが国のダムの設計は『河川管理施設等構造令』(1976年制定)に基づき、地震力を静的な水平荷重(慣性力)として考慮する方法(震度法)を基本としていますが、近年の地震動計測体制の整備やダムサイト岩盤における地震観測データの蓄積が進むにつれ、従来の想定(設計震度)を大幅に超える地震動が観測されています。
このため国土交通省では、ダム技術センターに学識経験者や専門技術者を含む委員会を設置し、当該ダム地点で考えられる最大級の地震動である「レベル2地震動」に対するダムの耐震性能を照査するための技術指針案(水管理・国土保全局『大規模地震に対するダムの耐震性能照査指針(案)』2005年3月)を作成しました。
照査にあたっては、最新の知見を十分に踏まえ、高度な技術的判断を要するレベル2地震動の設定から解析および結果に基づく耐震性能の評価までを一貫した視点から実施する必要があります。ダム技術センターでは、この技術指針案に基づき、これまでにダム耐震性能照査にかかる技術協力を多数実施するとともに、最新の地震動観測記録に基づくレベル2地震動予測手法の改良や実施例の少ないダムゲート等関連構造物の合理的な地震応答解析技術の開発・改良など、一層合理的かつ信頼性の高い手法の確立に向けた各種調査研究を積極的に推進し、その成果を逐時個々のダムにおける照査に反映させ、確かな評価を実施してます。